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ひきこもり…なぜ、出られないのか(1)

社会的引きこもりの定義は、「6か月間以上社会参加せず、精神障害を第一の原因としない」とされています。

ただし社会参加には「就学」「就労」のほか「親密な仲間関係」も含まれます。

ひきこもりは、単一の診断名や疾患名ではありません。 

 

 

ひきこもりは、家族も含めて他者と人間関係をもてない状態です。

人間関係があるということは、コミュニケーション能力があることをさすと考えます。

「コミュニケーションなら最低限の会話はしているからいいではないか」と思われるかもしれません。

本来ののコミュニケーション能力とは、言葉や情報だけのやりとりではなく、自分の感情を表現し、相手の感情を読み取ることができる能力をさします。

感情表現には、しぐさや態度といった非言語的コミュニケーションも含まれます。

 

ひきこもりの方は、感情表現が上手くできないために、日常生活にも社会生活にも支障がでている状態です。

行動だけでなく、こころがひきこもり=閉ざされてしまっている状態です。 

心を自ら閉ざしたわけではなく、どのように表現したらよいのかわからないままに、時間が過ぎてしまい、SOSも出せない状態になってしまっているのです。

表現の仕方がわからないので、わからないことをご家族にも伝えられず、さらに行き詰ります。

 

ご本人だけでなく、ご家族もとても辛い生活になっていると考えられます。

 

家から出られないとき、家族以外の第三者との会話が全くなくなったとき、家族とも表面的な会話しかできなくなったとき、まず、ご家族がカウンセリングをご利用することをお勧めします。

ご家族がまず自分たちの辛さを話してサポートを得る必要があります。

その上で、ご本人の辛さを理解し、ご本人の感情表現のきっかけを一緒に探していきましょう。

ご家族が感情表現の工夫を考えるためにカウンセラーとつながることで、ご本人もご両親もお互いかかわり方を僅かでも変化させることが可能になり、ご家族それぞれの感情に変化があるかもしれません。

その小さな変化を積み重ねていくことが、実はとても重要です。

家族間の会話が表面的なものから感情を伴ったものに変化していくことで、ひきこもりからの脱出につながります。